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住まいと暮らしのお役立ちコラム

【自分サイズを見つけよう】

 前回コラム「心地よい狭さとは?」に引き続き、今回も寸法にまつわるお話をしたいと思います。前回は「心地よさ」に対してやや感覚的な視点からのお話でしたが、今回はもう少し工学的なアプローチをした例についてご紹介したいと思います。

●まずは寸法の成り立ちから


 寸法の単位として世界共通で使われているものは「メートル法」ですが、木造建築の世界では現在も「尺寸法」が通常に使用されています。また、欧米では「フィート」や「インチ」といった単位も使われていますよね。建築設計の仕事をしていると、しばしば単位の違いに悩まされることがあります。木造建築の現場では大工さんが尺、寸で材料のサイズを測り、打ち合わせも当然尺、寸法で行われるので慣れないとその都度、「1尺は303ミリだから....えぇっと...」と単位換算をしながら話をすることになります。また以前、海外での建築現場に携わった方とお話した際にインチやフィートに慣れるまで、とても時間が掛かったと伺ったことがあります。
 ところで、フィートや尺寸法の由来をご存知ですか?
 フィートの単数形はFoot、そう「足」です。304.8mmの1フィートは足の長さに由来したのでした。
 では尺はどこからきた寸法でしょうか?
 文字の形からも想像出来る通り、尺は手を広げた時の親指から中指までの距離から決まったとされています。しかし現在建築寸法として使われている「曲尺」は303mm。これは手の長さから決まった小尺 (20センチ程度) を2辺とした大工道具の曲尺 (かねじゃく) の一番大きな寸法に由来するようです。
 いずれにしてもフィートや尺は体の部位の大きさから発展した「身体尺」だったのですね。


 ちなみに世界基準とされているメートル法ですが、1メートルは地球の北極点から赤道までの緯線距離の1/1000万で決められたそうです。実はあまり人間的な数字ではなかったのですね。
 もしかしたら、人間が密接に関わる建築の寸法はメートルよりも「身体尺」に基づくインチ・フィートや尺寸法で作られたほうが、理にかなっているのかも知れません。
※ 文中で取り扱う「尺」は建築寸法の「曲尺」を指します。尺寸法の成り立ちにはその他諸説あるようです。

●体系化された寸法の法則

 みなさんは「黄金比」という言葉を聞いたことがありますか?
 黄金比は人が見て美しいと感じる縦、横の比率を体系化したものです。縦1に対し横は1.618の比率。日本での名刺サイズがこの比率に該当します。
 そして黄金比を参考として、空間寸法を体系化した人々が居ます。代表的なのはフランスの建築家、ル・コルビュジェ。
 近代建築の巨匠なので、一般的にも良く知られた名前だと思います。日本では上野の「国立西洋美術館」がコルビュジェ設計の建物です。
 コルビュジェは黄金比と人体寸法から建物の基本寸法となる「モデュロール」という寸法体系を作り、実際に数々の設計に用いたそうです。試行錯誤の上「モデュロール」は平均身長6フィートのイギリス人の体型をモデルに作成されました。6フィート≒183センチの身長をもとに、おへその高さを113センチ、手を挙げた高さを226センチと設定しました。
 それらの数字を黄金比を用いて整理し、座る時の座の高さやカウンターの高さ、天井の高さなどを取り決めました。


 イラストにあるように椅子の座の高さ43センチは日本で作られる椅子の座の高さ約40センチの数字に近く、テーブルの高さは70センチ程度とほぼ同じです。キッチンのカウンターも日本では85センチという標準寸法があります。家具や建物で使われる標準的な寸法はモデュロールで設定された数字に割と近いと言えます。
 ただ、日本人の平均身長が伸びているため、現在ではキッチンのカウンターの高さは90センチ台のバリエーションが作られています。
 また、椅子の座の高さの3センチの差は日本人には少々高めで、外国製の椅子に座った時に足がちょっと浮く感じを体験した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 コルビュジェに続き各国の建築家もそれぞれに自国の平均身長を踏まえて寸法の体系化を試みましたが、現在のところ標準となるものはないようです。コルビュジェが作ったモデュロールもフランス人にとっては、やや狭いと感じられ結局その後標準化されることはなかったそうです。
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●自分サイズを探してみよう

 結局、人が「心地よい」、「使い勝手が良い」と感じる寸法には個人差があって、それはもしかしたら体の大きさの違いだけではなく、個人の感覚的な部分も大きく作用しているのではないかと思います。
 しかし、コルビュジェが試みたモデュロールの寸法は皆さんの自分に合ったサイズを探す上で一つの基準になると思います。イラストの数字をもとに、座りやすいと感じる高さや使いやすいと思うキッチンのカウンターについて、巻き尺を持って測りながら考えてみてはいかがでしょうか。
 ご自身の体の寸法も測ってみて、みなさん自身の「モデュロール」を作ってみましょう。まずは自分サイズを見つけることが心地よく、使い勝手の良い住まいづくりに繋がって行くのだと思います。

[住まいのナビゲーター 田中 哉子]

参考文献
「モデュロール1」ル・コルビュジェ著 吉阪隆正訳 鹿島出版会
「単位もの知り帳」小泉袈裟勝著 彰国社
「世界大百科事典」平凡社
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