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住まいと暮らしのお役立ちコラム

【人と人の距離】


 前回コラム「自分サイズをみつけよう」や前々回のコラム「心地よい狭さとは?」に引き続き、今回も空間や距離についてお話をしたいと思います。

●人にだってある「縄張りの感覚」
 たとえば空いた電車に乗り込むとき、皆さんはまずどこに座ろうと思いますか?ベンチシートが全部空いていたら両サイドのどちらかに座る、と考える人が多いのではないでしょうか。もし、ベンチシートの両サイドがすでに埋まっていた場合、両端から均等な真ん中あたりに座る、更に人と人との真ん中…といった具合にシートは埋まって行くことが多いと思います。
 同様の例として「鴨川の法則」が挙げられます。皆さんは「鴨川の法則」という言葉を聞いたことがありますか?京都の鴨川沿いでデートを楽しむカップルは、いつ何時みても常にカップル同士の距離を均等に保っているという法則のことです。インターネットで検索すると、この法則についてまじめに考察しているページを幾つか見ることが出来るのですが、それらによれば日中は数十メートルピッチに腰を下ろしているカップル達が日暮れとともに数を増してゆき、ピーク時は7~8mピッチにまで密度が増すのですが、ここに至るまで、あくまでもカップル同士の距離は均等なのだそうです。この場合も先ほどの電車のシートと同じく、選択できる他人との最大の距離を確保するために、常にカップルとカップルの真ん中に座っていき、飽和状態の距離7~8mが、カップル達の最小限の縄張り半径なのだということが判ります。

●人と人の距離-距離感を知って快適に過ごす

 このように、私たちは公共のスペースにおいて見ず知らずの他人同士の場合、出来るだけ誰とも密接せずに均等な距離を保って過ごそうとします。人と人の距離、それは言うなれば人間の縄張り感覚からおのずととられる距離と言えます。また、その距離は対する人との親密度によっても伸びたり縮んだりします。そして親密度と距離の関係は国によっても違い、それぞれの文化の背景による部分も大きいようです。それらについて判りやすく解説している本がエドワード・ホールの「かくれた次元」です。E・ホールは著書の中で人と人の距離について次のように定義しています。
 まず「密接距離」とは親しい間柄の距離です。鴨川でデートするカップルの2人の距離はこれに該当します。次に「個人の距離」は、さほど親密でない間柄の距離です。これは会社の同僚や友人と一緒に歩く場合、この程度の距離間ではないでしょうか。また、この距離は互いの社会的な立場によっても変わります。たとえば会社の上司と一緒に歩く場合、やはり多少距離を伸ばしやや後方を歩く、という社会的な関係が距離と立ち位置に反映されると思います。 次に「社会的な距離」とは、お互いを遮断し隔てることが可能な距離、と定義されています。3mという距離はパーソナルな空間を作ることが出来る距離で、コミュニケーションは取れても相手の領域を侵さない距離なのです。例えば、妻がキッチンで料理を作りながら夫に話しかけた場合、夫は新聞を読む手を休めずに聞いても、妻はさほど気分を害さない距離。
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 そういえば少し前「つかずはなれず3m」とシニア世代の住まいづくりについて謳った住宅メーカーのコマーシャルがあったのを覚えていますか?長年連れ添った夫婦、定年退職後に多くの時間を住まいの中で共有する時、互いの領域を侵さずコミュニケーションのとれる「3m」という距離は、とても重要になってくるのでしょう。 また、住まいづくりナビセンターで住まいについてお客様のお話を伺っていると家族の気配を感じる住まいにしたい、という意見を時々伺います。常に一緒に集うのではなく、家族が住まいのあちこちで好きなことをしていても、なんとなくみんなの気配を感じることが出来る、ここでも住まいの中の「3m」という距離がポイントになるような気がします。


●では具体的に「3m」のプランについて

 住まいの中で、気配を感じてもお互いの行動を邪魔しないためには、3mという距離にプラスして視線の向きにも工夫が必要です。家族の気配を感じるが互いに干渉しない例として、以前設計した住まいのプランをご紹介します。
 これは、おとうさんの書斎スペースと子供達の勉強スペースを階段ホールを介して1つの空間に配置したプランです。それぞれのスペースは3m程度離れ、おとうさんは書斎の机に向かった場合、子供達に背を向けることになるので、背中で子供達の声を聞きながら自分の作業を続けることが出来ます。子供達もおとうさんと向き合う配置ではないので、監視されるような視線を感じることなく勉強に集中することが出来ます。(といっても扉や壁で視線をさえぎられていないので、なかなかサボることも出来ませんが…。)

●住宅と住宅の距離…内側から作られる街並

 「公衆の距離」の12mとは相手の表情をほぼ読み取れないので、あまり相手の存在を意識しなくて良い距離です。例えば住宅の場合、道路と庭の距離が12m離れていれば道路を歩く人の視線も気にせずに庭の手入れや庭で遊ぶことが出来ます。しかし、敷地の限られる都市型住宅では、とてもそんな距離をとることは出来ません。従って“やんわり”と視線をかわすために樹木を植えたりフェンスを建てたりします。また住宅同士もお互いのプライバシーを守るため、南面を重視する日本の住宅の場合、隣戸の南側に建つ住宅は北側の住宅に配慮する必要があります。南に大きく開放する窓越しにお隣の方と目があって気まずい、なんて状況を作らないようにしたいですよね。新しい住まいを計画するとき「敷地のまわりになにが見えるのか」のチェックはとても大切です。道路や隣戸との関係から窓の位置や大きさ、樹木を植える位置などがおのずと決まって来ることがあります。住まいを外から眺めた時のイメージと内側から外を眺めたときに見えてくる風景、両方の視点を持ってプランニングを進めて行きたいですね。

●最後に

 いかがでしたでしょうか。普段なにげなく行動していても、誰もが人と人の距離をとりながら過ごしていると思います。改めてそれらの距離を意識し計画にとり入れることで、過ごしやすく、より快適な住まいを手に入れることが出来るのではないでしょうか。

[住まいのナビゲーター 田中 哉子]
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