住まいづくりにおける賢い選択
「いいものをつくり、長く大切に使う」
平成21年6月、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」という法律が施行されました。この法律では、「良質な住宅を建設し、大切に長く使っていく」ことを目指しています。どうしてこのような法律が誕生したのでしょうか。
世界に誇る長寿国の短命住宅
日本は世界でもトップクラスの長寿国です。ところが、住宅は欧米諸国と比べると非常に短命であることが知られています。
日本の建て替え時における平均築年数は30年。イギリスは77年、アメリカは55年。つまり、「世界に誇る長寿国の短命住宅」というアンバランスな状況が生じているのです。
高度経済成長のなか、日本では深刻な住宅不足に直面しました。そこで、次々と新たな「マイホーム」が建設されていったのです。こうした過程のなかで、おおよそ30年サイクルで建て替えられるのが一般的になっていったのです。
では、30年サイクルで住宅を建て替えるという“もったいない”行為をこれからも続けていいのでしょうか。
ヨーロッパの生活に感じる “豊かさ” の秘密
住まいが長持ちすれば生活も変わる
ヨーロッパの人々の生活を見て「羨ましい」と感じたことはありませんか。「日本とヨーロッパの生活の違いを生んでいる原因のひとつが住宅にある」という意見があります。
おじいさんの世代が住宅を新たに建設し、それが100年、200年先にも残っていれば、次の世代、さらに次の世代が莫大なコストをかけて住宅を建設する必要はありません。
自民党が発表した「200年住宅ビジョン」によると、200年という耐久性をもつ住宅と50年に1回建て替える住宅を比較すると、住宅の建設・取得・維持管理のための国民負担を3分の2程度に減らせるそうです。
住まいに関するコストが減れば、経済的な余裕も生まれます。その余裕を使って生活を変えていければ、日本でもヨーロッパのような豊かなライフスタイルを確立できるかもしれません。
本当の意味での資産型の住まいとは?
日本で住宅を売却しようとすると、「30年もすれば建物の価値はゼロ」という言葉を耳にします。やっとローンを完済した時には建物の価値はゼロ。冷静に考えるとおかしな話です。
欧米諸国では何十年経っても建物の価値をしっかりと評価します。だからこそ、住宅を一生懸命メンテナンスするのです。
戦後、日本では土地の値段が一貫して上がり続け、「土地さえ持っていれば安心」という意識が一般化しました。住宅を30年サイクルで建て替えたとしても、土地の値段が上昇していたので、損をすることはないと考えられてきたのです。ところがバブル経済の崩壊でこの前提が崩れました。
将来的に土地が値下がりすることも起こり得る。建物の価値は相変わらず30年ほどでゼロ。こうした状況のなかで、住宅を本当の意味での資産だと言えるでしょうか。
良質な住宅を長く大切に使うということは、こうした状況を変えて、住宅を本当の意味での資産にすることでもあるのです。 良いものを大切に使った場合は、その価値をしっかりと認める。そうすれば、住宅を資産としてより有効に活用できるのです。
良いものをつくり、長く大切に使う。それがこれからの住まいづくりにおける賢い選択なのではないでしょうか。
もっと知りたい「長期優良住宅」のこと
- PDFダウンロード(3.0MB)
※別ウインドウで開きます
- PDFダウンロード(7.3MB)
※別ウインドウで開きます