資金相談から見えてくること
- 2021年1月21日
- ナビコラム
~新しい年を迎えて~
毎年元日の日本経済新聞の朝刊には多くの別版が付いてくるが、新たな年の住宅産業動向を予想する住宅広告特集もその一つであり、自宅で今後住宅業界がどのような展開をしていくのかを想像しながら読むことが恒例となっている。
今年の一面はやはり新型コロナウイルスが住まい選びにどのような影響を与えるのかがテーマとなっていた。
新しい生活様式や住まいに対しての価値観や考え方などの変化
テレワークにより都心から郊外へ、マンションから戸建てへと志向が移っていくのか
利便性より広さ、自然、住環境重視
さらに、在宅時間が増えることでより暮らしやすい居住空間を求めたり
多拠点居住などへの関心も高まっていくのだろうか?
ネット通販やキャッシュレス決済拡充による後押しもあるのかしら・・・
住宅ローンにおいてはまさに時代の変遷を感じる。金利の低水準が長らく続いているが、10年前と比較すると改めて購入可能額や返済額はその恩恵を受けることがわかる。数字による違いが顕著に現れていて、バブル期にマイホームを取得した者としてはうらやましくもある。
私が住まいづくりナビセンターで住宅取得に向けての資金相談を担うようになってから早15年。その間も住宅ローンの制度は様々に変化してきている。またご相談者はそれぞれの状況が異なるので内容も様々だが、その時期の世相を反映していると感じることも多い。
印象深いご相談を時系列で挙げると
奨学金完済の目途が立ったのでマイホーム取得へ動き出したいという就職氷河期と言われた世代の方はとても堅実な印象が残っている。
不動産活用、相続税対策などへの関心が高まり賃貸併用住宅の検討をされる方もお見えになった。中にはアクロバット的な対策を講じようとする方も・・・
初めてマイホームを検討される方は、従来は昭和から続いてきた家族構成(夫婦+子ども2人)や単一収入(+パート収入など)がモデルケースとされていたが、平成末期にはダブルインカム世帯が急増してくる。
住まいづくりナビセンターでは主に住宅ローンを利用してマイホーム取得を計画される方向けの資金計画シミュレーションを行っているが、世帯所得の増加と低金利により思いのほか多くの住宅資金の借入が可能なケースが出てくる。
一方中高齢期(50~60代)に差し掛かると新たな住まい方を模索し始める。すでに持家はあるが人生100年時代と言われる今後の生活資金に対しての不安も感じられている方々も多い。
一方、海外赴任も含めた転勤族や社宅住まいなどで持家は無いが生活水準を下げることが難しい方など、それぞれ不安や悩みを抱えていらっしゃる。
マイホームを持つという目標がある意味画一的でもあった昭和世代も、多様な価値観が認められるようになってきた平成の時代も、コロナという大きな渦に巻き込まれて令和のこれからはどのような世の中になっていくのか予測することが難しい一年の始まりとなってしまいました。
ファイナンシャルプランナー
香取 玲子
次回のナビコラムは
住まいのナビゲーター 金山 真人 さんの「名庭園を訪ねる その3」です。
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