Case 12:工務店編[東京都 Kさま]
「家族の安心」を基盤に、明るく伸びやかな空間づくり
就学前後の姉弟がいる4人家族の住宅です。東西に細長い敷地は、周辺が建て込んだ地域の一画にあります。3階建ての2階部分にワンルーム状のキッチン、リビングダイニング、フリースペースを配し、吹き抜けを通して明るい日差しを取り込みました。たっぷりした収納を確保した建物は、耐震性と断熱性の面でも高い性能を備え、ご夫妻が望んだ「(家族が)守られる家」を実現しています。
2層のバルコニーが印象的なKさん邸。1階に書斎・和室と水まわり、2階に家族の集まるリビングダイニング、3階に個室を配置。
住まいづくりデータ(Kさん)
【家族構成】 | ご夫婦、お子様(2人) | 【依頼先】 | 工務店 |
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【構造・工法】 | 木造在来工法 | 【竣工年月】 | 2019年3月 |
【家族構成】 | ご夫婦、お子様(2人) |
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【依頼先】 | 工務店 |
【構造・工法】 | 木造在来工法 |
【竣工年月】 | 2019年3月 |
求める住まい像が明確になり、ぶれない家づくりができました
ご夫妻と元気な姉弟のKさんご一家。それまで暮らしていたマンションが手狭になったため戸建ての家づくりに踏み切りました。ご主人が長く住み慣れ、子どもたちの学区が変わらない地域で土地を求め、3階建ての木造住宅を新築しました。
家づくりについて何も知らなかったというKさんご夫妻。住まいづくりナビセンターの利用経験がある奥様の妹さんから勧められ、早速ナビセンターを訪れます。
住まいの計画書づくり、各種のセミナーや見学会。研究熱心なご夫妻は、ナビセンターが提供している多様なプログラムに積極的に参加して、家づくりで留意すべきポイントを学んでいきます。「お金、デザイン、機能など、家づくりを考えていくための手掛かりを知ることができました」とご夫妻は振り返ります。
依頼先を決めるまでには複数のハウスメーカーを回り、いくつかの工務店の話も聞いて、信頼できる会社を見極めていきました。最終的に「パートナープログラム」で出会った工務店に決定。Kさんご夫妻が求めた「高い耐震性と断熱性を備えた、(家族が)守られる家」を実現しました。
「住まいづくりナビセンターのサービスを通して自分たちが求めている家の姿が明確になり、基本コンセプトからぶれることなく家づくりを進められました」とご夫妻は語ります。
Kさんの住まいづくり
- 住まいづくりのきっかけ
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子どもの成長でマンションが手狭に
長女と長男、2人の子どもが成長して、それまで暮らしていたマンションが手狭になってきました。マンション内で広い住戸への引っ越しもしましたが、それも限界に。そこで、子どもの通う小学校の学区が変わらず、仕事場にも近いエリアで土地を探すことにしました。東京都文京区は、15年間住み慣れた地域です。(妻の)実家が持つ山の木を活かせることを考えながら、家づくりの検討を始めました。
専門家に相談することに
住まいづくりナビセンターへ
- 来館→ナビゲーションを受ける
-
依頼先に「何を聞けばいいのか」が分かるように
とはいえ、家づくりを依頼する依頼先のあてはありません。実家の近くであれば知り合いの工務店を紹介してもらえますが、新築する地域はその工務店の業務エリアから外れています。ではどこへ頼めばいいのか、見当もつきませんでした。
そんなとき、(妻の)妹から勧められたのが住まいづくりナビセンターです。妹は以前家を建てた時にナビセンターを利用しており、「いろいろな相談に乗ってもらえる」と言われました。住まいづくりナビセンターには子どもが遊べる場があるので、子ども連れで気軽に打ち合わせに行ける点も魅力でした。
いざ訪れてみると、個別に話を聞いてもらえるほか、いろいろなセミナーや見学会を開いています。これらに参加していくなかで、「どういう会社に依頼するとどういう家が建つのか」「工務店やハウスメーカーと話をする時は何を聞けばいいのか」ということを学んでいきました。
ナビの視点
家づくりについてじっくりご理解いただける場です
家づくりでは考えることがたくさんありますが、お客様にとっては、そもそも何から検討していけばよいのか分からないことが多いものです。家づくりにはどの程度のお金が必要なのか、自分たちにふさわしい家はどのようなものか、どのくらい時間がかかるのか…。住まいづくりナビセンターでは、ごく基本的なことから丁寧に説明し、家づくりの進め方を理解いただけるようにしています。中立的な立場からお話しするので、急かされることなく、お客様のペースでじっくり考えていただけます。
- 住まいのナビゲーターより
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家づくりに向けた「助走期間」のお手伝いをするのが、住まいづくりナビセンターの役割です。例えば、ハウスメーカーや工務店で家をつくるとはどういうことかを知っていただきます。やがて計画が具体化していく時に、依頼先の会社とがっちり組んで希望をかなえられるようサポートします。
Kさんは、自分たちでいろいろなことを理解した上で依頼先を選びたいというタイプの方でした。住まいづくりナビセンターが提供するセミナーや見学会を積極的に活用いただいたほか、「住まいの計画書」づくりのプログラムをご紹介しました。
- 「住まいの計画書」をつくる
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モデルハウス見学時の「見方」が分かりました。
ある言葉からイメージする写真を選ぶといったプログラムを通して、客観的に自分たちの趣味嗜好をつかむことができました。すっきりしたものが好きといった共通意識が分かる一方で、同じ言葉から抱くイメージは少しずつ違うことにも気付きました。こうした話し合いを通じて、自分たちが求めるものは何かという共通理解を得られたのは大きな成果です。
プログラムの折々にナビゲーターが説明してくれる話も参考になりました。例えば、いろいろな空間の写真を見ながら、リビングの横にあるちょっとしたスペースに子どもの勉強机を並べるといった使い方があることを紹介してもらったり…。家に対する知識が増え、モデルハウスなどを見学する際にどこに注目すれば良いのかが分かるようになりました。収納の重要性も教えられ、収納率を意識するようになりました。
ナビの視点
「住まいの計画書」は3回にわたって、そのご家族ならではの家づくりの方向性を考えていくサービスです。写真や言葉を使ったプログラムを通して、現在の住まいで課題に感じていること、生活の時間割、新しい家に描いているイメージなどを整理していきます。作業の仕上げに考える「我が家のタイトル」は、その後具体的に家づくりを進めていく過程で迷いごとが生まれた時に、いったん立ち戻り考えるための指針となります。
- 住まいのナビゲーターより
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「住まいの計画書」では、リビングでは何をして過ごしたいか、どの部屋とどの部屋が近くにあると便利かなどを考えていきます。Kさんご夫妻にとっても、リビングダイニングを中心した合理的なゾーニングを意識されるきっかけになったように思います。また、耐震性や断熱性のしっかりした「守られる家」というコンセプトは、その後の工務店選びの段階でも重要な指針になりました。
- 「パートナープログラム」を利用
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納得いくまで説明する姿に誠実さ
参加したセミナーで講師をしていた工務店の話をもっと聞きたいと思いました。そこでパートナープログラムを申し込み、工務店の社長と面談しました。
「住まいの計画書づくり」を通して気付いたのが、私たちは建物の「がわ」の性能、つまり耐震性能や断熱性能が高い家を求めているということでした。面談した工務店は、これらの性能を兼ね備えた工法で建てる会社です。私たちの要望や疑問に対して、社長は専門的な知識を踏まえつつこちらが納得するまで話してくれました。その話ぶりに、丁寧で誠実な人柄を感じ、家づくりを依頼することにしました。
住み始めてからも長くお付き合いできる感覚も私たちにはぴったりでした。新築に際し、すべてが完成した状態で入居したいと考える人もいるでしょうが、私たちは住みながらその時々の暮らしに合わせて少しずつ作り上げていきたいタイプです。その点、依頼した工務店は、例えば造り付け収納の棚板の一部を「様子が分かってから後で取り付けましょう」など柔軟に対応してくれました。
ナビの視点
「信頼できる人」かどうかが重要に
工務店にせよハウスメーカーにせよ、依頼先を選ぶ時には会社の社長や担当者のキャラクターが信頼できるかどうかが大きなポイントとなります。会社の規模が小さい場合は、どういう姿勢で家づくりに取り組んでいるかを見極めてください。どんな場合にも、お客様と建てる側の相性は重要ですから、納得するまで話を聞くことが重要です。
- 工務店担当者様より
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実家でお持ちの木材をどこかで使いたいというご要望を受けて、リビングのテレビ収納や手洗い器、リビング吹き抜けの上につくったキャットウォークなどに使いました。Kさんご夫妻はすっきりとしたシンプルなイメージを好まれていたので、白を基調とした空間の中で木の素材感をいかに調和させるかを考えていきました。最終的には、自然に木が焼けてきた頃に馴染むよう柱やフローリングの樹種を選び、素地仕上げとしています。
設計期間約6カ月
工事に着手
施工期間約6か月
Kさんの新しい住まいが完成
こだわりのポイント
1.歳月を見据えた家の骨格
Kさんご夫妻が家づくりで大切に考えたのが、家族が安心して暮らせる、しっかりした骨格を持つ建物でした。地震に対する安全性と、外の暑さや寒さの影響を受けにくい快適性を兼ね備えた家を求め、ウレタン断熱材をはめ込んだ高強度のパネルを用いる工務店に依頼しました。
高性能な「建物のがわ(外殻)」に守られた内側には、伸びやかな室内空間が広がります。4人家族が集まる2階のリビングダイニングには、3階とつながる吹き抜けを通して明るい日差しが入り込みます。
この家のもう1つの特徴は、将来をも見据えた機能性です。キッチンの隣に室内物干しや洗濯機置き場のある家事コーナーを配するなど、日常生活を踏まえた合理的な動線を確保。さらに、子どもたちの様子に目が届くようリビングダイニングの横に設けたフリースペースや、いずれ間仕切り壁をつくることを想定したワンルーム状の3階の子ども室など、姉弟の成長を見越した間取りを実現しています。
吹き抜けから明るい陽が差し込む2階のリビングダイニング。建物の断熱性能が高く、吹き抜けを設けても快適に過ごせる。吹き抜けにはキャットウォークを配し、窓拭きにも対処。
2.たっぷりの収納を確保
住まいづくりナビセンターでのやり取りを通して、Kさんご夫妻が気を付けるようになったことの1つが収納率です。幸い、面積には比較的余裕があったため、できる限りの収納を設けました。
それぞれの個室にクローゼットや押入れを装備したほか、1階にはシューズクローゼットや納戸、廊下の一面収納などを用意。書斎や3階廊下の本棚などを含め、場所ごとの使い勝手を考えた収納スペースを随所に設けました。
2階の主寝室と廊下。主寝室の右手側の壁にほぼ一面のクローゼットを、廊下の腰壁には本棚をそれぞれ用意するなど随所に収納を用意。
3. 実家の木を空間のポイントに利用
白を基調とした壁と天井に、チークの無垢材のフローリング。シンプルなインテリアの中で視覚的なアクセントとなっているのが、あちこちにあしらった木材です。奥様の実家が木材を扱っていることから、家のどこかにそれらを用いたいという点も家づくりの条件でした。
工務店と相談した結果、いくつものポイントで木材が生かされています。2階リビングの大きなテレビボードまわりでは、濃いめの木目を持つ板が目を引きます。吹き抜けの上部に設けたスノコ状のキャットウォークや2階トイレの洗面台など、要所に用いた実家の木材が空間に温かみを与えています。
2階のリビング。テレビボード上部の収納扉には、奥様の実家から調達した木材を使用。白を基調としたインテリアの視覚的なアクセントとしている。