スマホで手に入れる建築系ツール
- 2020年9月14日
- ナビコラム
~暮らしを計測する~
これまで設計や施工のプロしか持っていなかったツールを、スマホのアプリで誰でも簡単に使えるようになりました。日頃から使用頻度が高い機能と使用例をご紹介します。
◆方位磁針・コンパス
住まいの採光に影響する太陽の高度や日の出日の入りの方角は、季節によって変わります。また、風の向きは、季節、地域、敷地の条件によって違うので、建物を計画する時には、方角を確認することが重要です。省エネ性能を上げるためにも参考になります。
地図や建築で使う真北と、コンパスのさす磁北には、ずれがあります。
家相、風水の流派によっては磁北を使うこともあるので、目的に合わせて設定しましょう。
イスラム教の聖地メッカを示すアプリもあります。
写真)建築家アルヴァ・アアルトのヘルシンキ郊外の自邸
書斎コーナーは天井が低く抑えられ、明るく落ち着いた空間
◆メジャー
家具の寸法、部屋の大きさ、離れた対象物までの距離や高さなどを計測できます。
正確に測るには、レーザー距離計や目盛りの部分がしっかりしたメジャーを使いますが、いつも持ち歩くには重いです。
◆水準器
地面に対して水平かを図る道具で、X軸Y軸方向の傾きを見ることができます。築年数の古い木造の建物の上階の床に傾きがある場合、階下の構造に問題があることも考えられます。どの場所がどの方向に傾いているかをまず水準器で把握します。詳細は、天井裏の構造部材の調査が必要です。
鉄筋コンクリートの場合でも、スラブの長辺方向が下がっていたり、また重量物を長年置いたことで床面が下がることもあります。床材の貼替の時には確認しましょう。
写真)建築家グンナール・アスプルンド設計
ストックホルム郊外 世界遺産 森の墓地
地面に対する水平と垂直が森の中で際立っている
◆アングルメーター
基準面からの角度を調べるためのツールです。リフォームの計画の際、既存の壁が垂直になっているか確認が必要なことがあります。また、DIYで家具を組み立てる時に便利です。
写真)建築家アルヴァ・アアルトのアトリエ 2階製図室
白い勾配天井がハイサイドライト(高い位置の窓)の光を反射させて明るい室内
◆色見本
色の見え方は、照明、太陽光や自然光などの光源色の違いや、色同士の組み合わせ、面積にも影響されます。また、記憶したり人に言葉で伝えるのが難しいです。
色見本では、色を名称や数値で表しています。
気に入った色に出会ったら、写真撮影とともに色見本で調べておくと、色彩計画の参考になります。
◆騒音測定
測定値は、不動産を探すときに騒音レベルの比較の参考になります。設備機器、音響機器、楽器の演奏音、犬の吠え声などの騒音が近隣とトラブルにならないように対策が必要です。
アプリは、ツールの名称で検索すると、無料から有料まで多数出てきます。
測定値の精度はプロ仕様とまではいかなくても、スマホを持っていれば、街歩き、ショールームなどで思いついたときに使えます。
入れ替えも簡単なので、各種試してみてはいかがでしょうか?
住まいのナビゲーター
一級建築士 亀井 真理
次回のナビコラムは
住まいのナビゲーター 金山 眞人さんの「改正民法と住まいに関わる契約の注意点 その5」です。
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