暮らしに色を取り入れてみませんか? その4
- 2020年12月24日
- ナビコラム
~巨匠の色彩を訪ねて~
巨匠と呼ばれる建築家は、普遍的な美しさを残しています。建物だけでなく、家具や照明などもデザインして、建築思想と美意識が一体となった空間を作り上げています。
今回は、建築家の作品の中から、色の使い方を学んでいきましょう。
◇ ミース ファンデル ローエ
近代建築の3大巨匠の一人で、作品にニューヨークのシーグラムビル、バルセロナパビリオン等があります。
無駄な線を消すために、徹底的に細部にこだわった設計で有名です。
・ファンズワース邸(アメリカ イリノイ州シカゴ郊外)
川のほとりの女医の別荘です。
緑の中に浮き上がるような白く塗装されたH形鋼、内外とも床はトラバーチン、外周全面ガラス、木の家具。色が絞られていますが冷たさを感じないデザインです。
・トゥーゲンハット邸 (チェコ ブルノ市) 世界遺産
高台の傾斜地に立つ邸宅です。
外観は白塗装とガラス、写真のリビングの壁はオニキス、 床(建築時)はトラバーチンで、温室の緑も一体となっています。
ホールの壁は、照明を仕込んだガラス壁。
両作品とも、バルセロナチェア、ブルノチェア(どちらも購入可能)などの、クロム色の足のラインが美しい椅子が、洗練された空間に調和しています。
◇ フランク ロイド ライト
自然と調和する有機的建築を目指したアメリカの建築家です。
写真の3つの作品とも、インテリアの重厚感のある木の色と、幾何学的なデザインで色彩豊かなステンドグラスが特徴です。
・ロビー邸 (アメリカ イリノイ州シカゴ) 世界遺産
水平線を強調した深い軒とレンガ、色の濃い軒先と窓の木枠の色、ステンドグラスの外観です。暖炉、照明など細部まで密度の高くデザインされ、格調高い住宅です。
この住宅とタリアセン(ライトのアトリエ群)の照明は、落ち着いた木の色との組み合わせがライト独特の表現で、再現されたシリーズが販売されています。
・自宅兼事務所(アメリカ イリノイ州オークパーク)
彫刻や壁画などの装飾と石膏壁の色彩で、温かい印象です。
天井のステンドグラスを通した光が空間に深みを与えています。
オークパークは緑豊かな高級住宅地で、ライトの初期の作品が多数あります。その他の住宅も、デザインや色彩がバラエティーに富んでいるので参考になります。ネット上の散歩にお勧めです。
・ユニティ テンプル(イリノイ州オークパーク)世界遺産
コンクリート造の平らな屋根で硬い印象ですが、対照的に内部はステンドグラス、照明、天井から落ちてくる光で明るく包まれます。
薄いグリーン、ブルーの塗り壁と濃い木の色が、バランスよく組あわされています。
ご紹介した二人の建築家の作品は、いつ見ても新鮮で感動を覚えます。
ミースの言葉Less is more.(より少ないことはより豊かなことである)、ライトの自然に学び調和していくデザインの考え方を、暮らしに取り入れていきたいと思っています。
住まいのナビゲーター
一級建築士 亀井 真理
次回のナビコラムは
ファイナンシャルプランナー 香取 玲子さんの「資金相談から見えてくること」です。
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