WEB住宅ローン利用増加に思う
- 2021年6月21日
- ナビコラム
インターネットを利用した住宅ローンの申し込みや審査は、店舗を持たないネット銀行や住宅ローン専門会社が取り扱いを始め、さらに大手銀行との提携による代理業務や定額自動振替サービスによって返済への資金移動を可能にするなど、その関係を強化して拡充させてきました。
そこへ近年では、利用者の利便性の向上や銀行のコスト削減により収益性を高めることを目的に、業務プロセスのデジタル化を図るなど、メガバンクも積極的に参入しています。
コロナ禍における外出自粛はWEB住宅ローンの増加を後押しする要因ともなり、とりわけネットの扱いに抵抗感のない若年層にとっては、住宅ローンを手軽に感じることで借入へのハードルが下がっているのかもしれません。この動きは今後ますます加速していくと思われます。
一般的にWEB住宅ローンのメリットとしては
・金利が低い
・来店不要
・保証料・一部繰上返済手数料無料、電子契約による諸経費の軽減
・団体信用生命保険内容などサービスの多様化
が挙げられ、半面デメリットとして
・審査が厳しく時間がかかる
・ノーマルな案件(新築・中古、マンション・戸建共に建物の購入)や借り換えが中心
・建設資金など分割での支払を要する場合の対応は難しい(つなぎ・分割融資など)
・初期費用が高い(事務手数料の低率方式 借入金額の2%程度)
といったことが挙げられます。
借入条件に合致した場合、WEB住宅ローンはとても魅力的ですが、契約内容をよく理解し、無理のない借入かどうかを自分自身で判断する必要があることは言うまでもありません。
リモートワークが推進されていくなかでの郊外移住、多拠点居住やセカンドハウスの購入など住まい方の多様化の動きもみられています。これからの時代、働き方改革や家族構成の変化、高齢化社会に際して住まいに対してもより柔軟な考え方で個々に応じた選択を迫られていくことでしょう。
さてさてWEB住宅ローンに関して私が不安に思うことは本人の意思確認です。
今やWEB住宅ローンは申し込みから契約まで来店不要で完結できるまでに至っています。電子契約では銀行員が対面することなくお金が口座に振り込まれることになります。
本人確認はカードや書面の受取、司法書士面談で済まされ、資金決済時に借入人・指定司法書士・不動産業者同席により所有権移転・抵当権設定契約を行うという形をとることが多いようです。
もちろん問題なしと判断されてからのことでしょうし、個々の案件で対応も様々でしょうが…
かつて銀行でローン業務に携わっていた時に契約書類への本人面前自署、意思確認必須を叩き込まれた身としては隔世の感があります。ある意味面接とも言える対面相談なく借入が手続きできてしまうことで借金を背負うことの重みを感じることができるのか⁉
お給料が現金支給から口座振り込みに移行し始めた時には「お金のありがたみが薄れるのでは?」といった声もあったかと思いますが、キャッシュレス決済や仮想通貨の流通が当たり前になりつつある現在では老婆心なのかもしれませんね。
ファイナンシャルプランナー
香取 玲子
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