建具のある暮らし ~古民家より~
- 2022年6月14日
- ナビコラム
住まいの必需品と言っても過言ではない建具についてのお話。
建具とは、外部や内部の部屋などの仕切りに使用する可動する窓や戸、襖や障子などの総称で、建具のない住まいは滅多に目にすることはないでしょう。
建具は外と内・部屋を仕切ることができます。プライベート性を保つためであったり、玄関扉のように人を招き入れるものであったり、その役割は多岐に渡ります。また、通風や日照を確保する役割としても大切なものです。
生活のなかで特に使用頻度が高いこともあり、「耐久性に優れ、メンテナンスや交換も容易にできる」ことが、建具の持つ本来の特徴だと思います。
今回のコラムでは、築60年以上経つ古民家と位置づけられる住まいの建具について書いてみたいと思います。
私達が住む日本には、1年を通して気温の変化が感じられる四季があります。
春や秋には花や新緑、紅葉など美しい景色を眺めることができます。戸を開ければ、小鳥のさえずりや新鮮な空気や風を室内へ呼び込むことができます。雨風の強い日には戸でそれらを遮ることもできますし、夏は強い陽射しから内部を守ります。冬には戸を閉めることで寒さを凌ぐ役割もします。
そのような日本様式の建具は、部屋を仕切るのに襖や障子、板戸が使用されてきました。
多くは引き戸という種類になりますが、同じ寸法で造られています。なぜなら、柱や梁などの構造材(家の骨組みの部分)以外はほとんどが開口部という造りということもあり、その梁下(鴨居下)の寸法はどの民家でも同じ高さになっています。また、柱が1間ごとに入っていることから、開口の幅も大体が同じということが言えます。
建具の寸法が揃うことで、季節ごとに建具を外して変えることができること、他の場所にあった建具を移動することができるようにしていた先人の知恵でもあったと思います。
建具の高さが五尺八寸(おおよそ1.8m)でできていますので、鴨居下だと背の高い方はくぐるようになります。差鴨居に建具の溝が付いているので、開口の高さは175センチ程度になります。
◆大阪格子戸
◆鏡板戸・帯戸
鏡板戸は一枚板が基本ですが、二枚の板をはぎ合わせたものもあります。写真は8畳間を仕切る差鴨居下の板戸です。
大正時代に建てられた古民家ですが、調査したところ、建具類などは江戸時代から使用されてきた再利用品ということがわかりました。埃などを取り、古色塗りをして襖の入っている側に建て付けます。
◆古民家再生事例(改修後)
畳の間を無垢板張りにし、床面をフラットに仕上げました。
まだまだ使用できる古い建具を取り外し、移設しました。
写真は水まわりの配置変更など大規模な改修を行った事例ですが、間取りの変更をともなう改修を行わなくとも、建具の位置を変えることで雰囲気を変えることができます。
このように現代の住まいではできないようなことが、古民家ではできてしまいます。
住まいのナビゲーター
小林輝子
次回のナビコラムもお楽しみに♪
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