窓のある暮らし
- 2022年7月7日
- ナビコラム
住まいの必需品と言っても過言ではない建具についてのお話。
今回は「窓」について書いてみたいと思います。
木製建具が主流だった時代から変化し、屋外に面した窓には「サッシ」という名の、量産可能で品質・性能も安定した工業製品が普及しました。
窓サッシの材質も色々あります。フレーム部分の材質はアルミ製や樹脂製のほか、室内側が樹脂製・屋外側がアルミ製といったハイブリッドの製品もあります。ガラスは、ペアガラスやトリプルガラスといった断熱性や遮熱性を高めたものが住宅でも一般的に使われるようになりました。省エネ住宅として、住まい全体を省エネ化することが昨今の住まいづくりで求められることから、このように窓の性能にも気密性や断熱性、遮熱性が求められてきています。
また、様々な形状や開閉方式のものがあり、状況に応じて窓の種類を選ぶことができます。
そんな窓について、3つの実例をご紹介します。
階段室に設けた窓は、暗くなりがちな階段や廊下に光を届け、明るく開放的な雰囲気をつくりだします。
写真1はオーニング窓+はめ殺し窓+オーニング窓の組み合わせです。
オーニング窓は、開く角度を調節できるため雨の日も通風を確保しやすく、省エネにもつながります。手が届きにくい高い位置に窓が取り付けられる場合は電動式にしたりチェーンで開閉できるようにしましょう。
洗面室の窓は気密性の高い外開き窓などが好まれます。
高気密・高断熱が住まいづくりの要である昨今、気密性の高い窓が採用されることが多い一方、洗面室は湿気が多く発生する場所でもあるので、換気扇による換気だけでなく窓からも通風換気ができるような形状のものが好ましいと思います。
外に開くタイプの窓は、風にあおられないようにストッパーを付属できるものが良いでしょう。また、開口サイズにバリエーションがあるので、人が侵入できない幅の細いスリット窓などにして防犯性を高めることも可能です。
雨戸は古来、雨風を凌ぐために障子窓の外側に設けられる木製板戸のことですが、木製建具からサッシ窓へ変化した現在も、その名称は受け継がれ、木製以外にアルミ製やスチール製などの材質の雨戸が普及しました。レール上を横に引くのが雨戸、写真3のように上からスクリーンのように降りてくるものがシャッターです。
雨戸は必ず設置しなければならないものではありませんが、暴風雨から窓ガラスが破損するのを守り、部屋側からの施錠により防犯性を高められます。写真3のようなシャッターであれば、外からの陽射しの調節や通風を確保できるため、留守の際も窓を開けたままにし、シャッターからの換気を期待できます。また、シャッターであれば電動式のものがありますので、窓を開けなくても部屋の中に居ながら開閉が可能です。
ただ、シャッターにもいくつか注意点があります。従来の雨戸のようにレールから戸ごと外すことができず、災害時に開閉できない可能性もあるので、万が一に備えて避難経路の確認をしておくことが必要です。また、埃が溜まって動作に不具合が生じることがあるので、長く使用するためにもこまめに埃を取り除くなど掃除やメンテナンスが大切です。
これらの事例からもわかるように、日本の住宅の窓は形式も材質も大きく変わり、現場での加工が不要でそのまま取り付けることができる既成品のサッシが標準的な仕様として使用されるようになりました。とはいえ、工場生産され品質の安定した窓でも消耗する部分がありますので、長く住んでいる間にはメンテナンスが必要になってきます。たとえばクレセント(注1)やレバーハンドルなどの部品はサイズさえ間違わなければご自身で交換することもできますので、動きに問題がないかなど日頃からチェックしましょう。
現代の窓は、日本古来の障子や襖のように、簡単に取り換えたり他の場所へ移動することができません。窓を設ける部屋の環境や状況、窓の目的を踏まえながら、適材適所で窓の種類を選ぶことが大切です。
注1)クレセント:引違いサッシの部屋側に取り付け、外から開かないようにする錠
住まいのナビゲーター
小林輝子
次回のナビコラムもお楽しみに♪
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