日本の住まい 欧米の住まい その1
- 2020年5月20日
- ナビコラム
「日本で生まれ育った私が
10年以上に亘りアメリカとイギリスで暮らし
住宅について感じたことを3回シリーズでお伝えします」
~玄 関~
明治以降、日本人の生活は欧米化しましたが、その中にあっても以前と変わらなかったのが
「家の中では靴を脱いで生活する」という習慣です。
私たち日本人、家の中では靴を脱がないとリラックスはできませんよね。
日本の住まいの玄関には靴を脱ぐスペース「土間」があり、一段上がって床があります。
そして玄関ホールには下駄箱やシュークロゼット等の収納スペースが設けられています。
一方、欧米の住まいの玄関ホールは単なるエントランスで、日本のような収納スペースは
ほとんど設けられていません。
そのかわり、玄関まわりは思い思いに飾り付けてステキな空間に仕上げています。
欧米では単なるエントランスといえどもインテリアに力を入れているのです。
欧米の住まいの玄関には土間は無く、玄関ポーチと室内のフロアはほとんど同じ高さ。
風の強い日に玄関ドアを開けると、人と一緒に土埃や落ち葉が室内に入って来てしまう事が
しばしばありました。
靴のまま室内に入るのですから、多少の土埃もOKという感じでしょうか。
日本の場合、雨仕舞のこともあり玄関ドアは外開きが標準的ですが、欧米は内開きです。
靴を脱ぐ習慣のある私たちが欧米の住宅に住むと、玄関回りに脱いだ靴を所狭しと
並べることになり、そこへ玄関ドアが内側に開いて、ズラリと並んでいる靴が
はじき飛ばされて散乱する。その繰り返しでした。
「靴をしまう所が欲しい!」いつもそう思っていました。
では欧米人、どこに靴をしまうのでしょうか?
クロゼットの中に洋服やバックと一緒にキレイに収納している人が多かったです。
お出かけの時、全身のコーディネートを考えるには都合がいいですね。
帰宅して洋服を普段着に着替える時、靴も室内履きに履き替えるようです。
子供の靴はエントランスで脱がせる家庭が多く見られました。
子供たちの靴は外遊びで汚れていますからね。
室内で靴を脱ぐ習慣が羨ましい、と言われたことが何回もあります。
理由は汚れを室内に持ち込まないで済むからだそうです。
じゃあ、家の中に入る前に靴を脱いでしまえばいいのにと思ってしまいますが
「靴は衣服と同じく身に着けているべき物」なのでしょう。
日本は生活が欧米化していく中でも、家に上がる時には靴を脱ぎ続けました。
「よかった!」私はやはり靴は脱いで暮らしたい。
靴だけでなく外で使う物は家に上げない習慣のある日本です。
玄関まわりには、靴だけでなく、身の回りの物、外で使う物等の収納スペースは
きちんと確保して、スッキリした空間にしていたいですね。
それに加え、玄関は住まいの「顔」です。
欧米の住まいの様に「おかえりなさい&ようこそ」の気持ちが伝わってくるような
ステキなインテリアでお迎えしたいものです。
「日本の住まい 欧米の住まい その2」ではお風呂についてお伝えします。
お楽しみに♪
住まいのナビゲーター
一級建築士 松江 真理
次回のナビコラムは
住まいのナビゲーター 川道 恵子さんの「自粛化で住まいづくりを進めるコツ」です。
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