日本の住まい 欧米の住まい その2
- 2020年6月12日
- ナビコラム
「日本で生まれ育った私が
10年以上に亘りアメリカとイギリスで暮らし
住宅について感じたことを3回シリーズでお伝えしています。
今回はお風呂について…」
~お 風 呂~
欧米スタイルのお風呂と日本のお風呂の違いは、皆さん良くご存じですよね。
欧米のバスルームはお風呂とトイレと洗面の3つが一緒になっています。トイレだけというレストルーム(トイレット)はありますが、お風呂だけというのはあまり見かけません。バスタブの中でシャワーを浴びるのが欧米スタイル。バスタブも浅めなので、お湯を張っても肩まで浸かってゆっくり暖まる感じではありません。洗い場で体を洗い、浴槽にたっぷりお湯を張ってザブンと浸かる和風のお風呂。私は何年欧米で暮らしても、ずっと日本のお風呂が恋しかったです。きれいな水に恵まれた日本だからこそ、このお風呂文化が培われてきたのですね。
このお風呂事情、もう一つ大きく違う事があります。欧米の住宅は、1ベットルームに1バスルーム。各寝室にはそれぞれバスルーム(トイレとお風呂もしくはシャワー)が付いているのです。2つの部屋の間に共有の一つのバスルームという子供部屋もありますし、バスルームのない寝室もありますが、基本的には寝室はバスルーム付きです。
このバスルーム付きの寝室、住んでみると効率が良くてなかなか使い勝手がいいですよ。あちこち歩き回らなくても寝室の中だけで身支度が完結できます。外出前の忙しいひと時、とても便利でした。
さらに最近、特に注意しなくてはいけないと言われている「ヒートショック」(注)という点から考えてみると、寝室の中にお風呂やトイレがあれば、冬の夜にも暖かい寝室から寒い廊下へ出なくても済みます。欧米のバスルーム付きの寝室はヒートショック対策が取られているスタイルなのですね。
とはいえ日本の住まい、2つ以上のトイレがあるとしても、お風呂は1つが標準的です。ですから、せめて寝室のすぐそばにお風呂やトイレを配置して頂きたいと思います。
お風呂やトイレと寝室のアクセスを良くする事と並んで、ヒートショック対策に欠かせないのが住宅の断熱性能の充実です。熱の出入りが一番大きい窓廻りは、ペアガラスにしたり、二重サッシにする。断熱材でスッポリお家をくるんで家中を暖かくする。断熱性能をアップさせ、ヒートショックの心配が少ない快適な暮らしをして頂きたいですね。
次回「日本の住まい 欧米の住まい その3」では窓についてお話します。
お楽しみに!
注)ヒートショック:冬の寒い日に暖かい部屋から寒い廊下へ出るなど、急激な温度変化により血圧の乱高下などが起こってしまう危険な状況の事。
住まいのナビゲーター
一級建築士 松江 真理
次回のナビコラムは
住まいのナビゲーター 亀井 真理さんの「暮らしに色を取り入れてみませんか? その2」です。
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